自学自習と非認知能力

英会話習得の成功へのカギは何でしょうか。

正しい英語学習理論とその理論が実践できる教材が必用です。

それだけでは充分ではありません。英語学習を続けるためには次のような非認知能力も必要になります。

英語学習を毎日のルーティンのように慣習的に続けるのは効果的な学習ではありません。

英語の本を読んでいると、いろいろな方法で英語が話せるようになった人がいます。

つまりその方々が英語を話せるようになったのは、必正しい方法を選んだからと言うよりは、その方の非認知能力に長けていたからなのです。

これだけを見れば学習方法よりは非認知能力の方が重要であると言えます。

 

1.非認知能力とは

非認知能力とは、「根気強さ」「注意深さ」「意欲」「自信」「協調性」「やり抜く力」 「社交性」「自制心」「勤勉性」などであります。この非認知能力は、記憶力や学力、知能指数(IQ)などのいわゆる賢さに関する認知能力よりも社会的成功に結びつきやすいと言われています。

例えば、2000年のノーベル経済学賞を受賞したJames J. Heckmanは、1960年代にアメリカのミシガン州で行われた実験“ペリー就学前プ ロジェクト”に注目し、非認知能力の重要性を強調しています。

このプロジェクトでは、低所得層の家庭で育った子どもたちに就学前教育が実施され、就学前教育を受けなかった子どもたちとの比較が行われ、40年経った今も追跡調査がなされています。

実験の結果、就学前教育を受けた子どもたちの学力やIQは確かに向上しましたが、就学前教育が終了して数年経つとその効果はすっかり消えたといいます。

一方で、学力やIQ以外の主要な効果は持続し、非認知能力の向上もその一つであったことが明らかとなりました。 そして、参加した子どもたちが40歳になった時点では、就学前教育を受けた子どもたちは、学 歴、収入、持ち家率がいずれも高く、雇用が安定しており、反社会的な行為に及ぶ確率も低かったということも分かったのです。

これらの社会的成功の要因は非認知能力に起因するものと考えられ、以降、非認知能力の大切さが一層認められるようになりました。また、Heckman によれば、非認知的な性質は学力テストの成績などの認知的性質にも影響するといいます。  

人がある事柄に成功するには様々な要因が存在します。そのような成功に向けての心理学、つまり「成功の心理学」の研究は数多くあります。しかし、ここではとりわけ非認知能力で特に注目を浴びている二つの要因である「やり抜く力」と「セルフ・コントロール」に焦点を当てます。

 

2.やり抜く力  

どの分野であれ、成功する大きな要因の一つはその人が持っています「才能」、教育の分野で あればよく使われる指標としてIQが考えられてきました。しかし私たちは、才能のある生徒がいつもよくできるとは限らず、また才能のない生徒が良くできる状況を目の当たりにすること が少なからずあります。

勉強には楽しさがあり、また達成感が得られることがある一方で、退屈な 反復練習、つまらない学習内容、能力の低い教師に遭遇することも多々あります。そのような状況 でも成功に結びつく大切な要因の一つとして「やり抜く力(grit)」が考えられます。  

やり抜く力とは、アメリカのペンシルバニア大学のAngela Lee Duckworthらによる 一連の研究によって提唱された性格特性でもあります。

Duckworthらは、やり抜く力を「長期目標に向けての粘り強さと情熱」と定義しています。

そして、それは、挑戦的なことに向けて力強く取り組み、失 敗や逆境、進歩の頭打ちに直面しても、努力や興味を数年にわたって維持することにかかわる、と説明しています。

この概念を簡潔に説明するなら、「継続的な努力」と考えることができます。

エキスパート研究の一人であるAnders K. Ericsonは、「生まれつきの資質は新たなス キルや能力を学びはじめた段階ではパフォーマンスに影響するかもしれないが、能力を伸ばすために努力した人の中で誰が秀でるかを決めるうえでは、練習や訓練の量や有効性の方がはるか に重要な役割を果たす」と言います。

練習や訓練の量が 成功や達成には大きくかかわるため、それらを「継続的に」行うことは特に重要になることが 分かります。  

Duckworth et al.の一連の研究では、より高度な教育を受けている人はそうでない人よりも、また年配の人は若い人よりもやり抜く力は高くなります。

シニア英会話もやり抜く力の高い方シニアの方に期待を持っています。

セルフ・コントロールの視点から力が高く、やり抜く力の高い人は低い人よりもあまり仕事を変えることもなく、大学においても高い成績を獲得していることがわかりました。

Duckworth and Quinnによる1年間の調査の結果では、やり抜く力の高い中学生や高校生はその力の弱い生徒と比べ、学業成績が高く、またテレビの視聴時間も少ないことが明らかになりました。

Robertson-Kraft and Duckworthでは、教育経験は浅くてもやり抜く力の高い教師は、困難校での勤務において教職に留まる傾 向があり、留まった教師の中でもより有能である傾向が確認されました。

これらの研究から分かりるように、やり抜く力が成功する者と失敗する者とを分ける要因であり、言い換えると、成功への一つのカギと見ることができます。

以上のように、やり抜く力は長期の目標に向かって諦めることなく行う力で、教育だけでなく、社会的成功に大きく寄与していますことが分かります。

やり抜く力とは、一時的に多くの力を投入する「ものすごく 頑張る」というよりは、長期にわたって努力する力、つまり「持久力」ありますいは「スタミナ」のことであり、自分にとってかけがえのないことに取り組むことであります。

人が 一つの分野において成功するには、時間軸も考慮しないといけないため実証が難しいのですが、やり 抜く力の研究によって、その点も捉えることができます。

 

3.セルフ・コントロール と自学自習

上記のやり抜く力に加えて、「セルフ・コントロール」も非認知能力の一つであります。セルフ・コントロールの訳語として自制心が使われています。

このスキルも心理学において近年特に注目を浴びています。それを示す一例として、Inzlicht and Schmeichelによれば、1986年から2014年の間、セ ルフ・コントロールの研究が増加していますが、2000年頃から大きく増加してきています。

この傾向は、近年顕著になってきています。例えば、2004年に出版された『Handbook of self-regulation』、2011年に出版されたその第二版、そして2016年に出版されたその第三版で扱われている研究内容を比較しても明らかです。

では、セルフ・コントロールとは何でしょうか。この言葉はよく自己調整 と同じ意味で使われています。Schmeichel and Baumeisterによれば、両者を厳密に定義すると次のようになるといいます。

自己調整:自己による、意識的であり無意識的な反応の調整

セルフ・コントロール:自身の反応を調整する、より意図的で意識的な過程そして特に望ましくない衝動の抑制からわかるように、セルフ・コントロールとは特に意識的に望ましくない衝動を どのように制御するかに焦点が置かれています。

やり抜く力とセルフ・コントロールの視点からさらに、セルフ・コントロールに焦点を絞ってみていくと、研究者によって、その言葉の 定義は多少異なります。

ニュアンスは異なっています が、これらに共通することは、直近の魅力的な誘惑に屈することなく、将来に有用となる かもしれないことに向けて、認識、感情、行動を変えることであります。

このように、やり抜く力同様、セルフ・コントロールも成功に向けて大切な役割を担っていることがわかります。また、セルフ・コントロール力を判断する研究手法も確立されるため、 今後の研究も大いに発展することが期待されます。

 

4.モチベーション  

言語学習におけるモチベーション研究は1950年代後半から始まりました。他の研究においては、教育心理学からの応用を試み、内発的・外発的動機づけを体系化した自己決定理論が第二言語習得の分野で広く研究されてきました。

また、モチベーションは時間とともに変化するという観点から、個人的な興味や関心や 過去の学習経験が学習の初期段階では大切で、個人的な学習目標がのちの学習意欲に多大な影響を与えるということも確認されました。

さらに、学習者の意欲喪失の様々な要因を特定しようとする「意欲喪失」 の観点からの研究も第二言語習得のモチベーション研究において盛んになってきています。

意欲 喪失の要因として挙げられているものの中には、学習教材、訳読法などの教授法、テストの点数、教師などがあります。

学習者の意欲を持続させることが英語習得成功への大きなカギとなるので、このシニア英会話では科学的に証明されたディープラーニングを学習の基盤としています。

 

5.自己調整能力

第二言語習得における自己調整の研究は、言語習得に効率的な学習方法に焦点を当てた「学習ストラテジー」の研究の流れから発展してきました。

この発展の背景には、 どの学習者にも効果的であるとする普遍的な言語学習方法というのは存在せず、学習者自身 が学習に従事できるように学習を調整する過程が重要であるという考えによります。

現在は、自己調整に焦点を当てた研究の流れがありますが、実際の研究の数は 非常に限られています。  

第二言語習得は学際的な分野であるため、様々な領域からの研究の応用が試みられています。 教育学や心理学での研究の応用が非常に有名であります。

やり抜く力とセルフ・コント ロールの研究は、近年心理学の分野で発展してきていますが、第二言語習得への応用研究はほとんど行われていません。

 

この研究の中でやり抜く力と第二言語における理想自己が含まれています。このような比較研究によって、両領域における概念の関係性を明確にすることが可能となります。

 

Duckworthは、達成に向けての過程を次の二つの方程式で説明しています。 

 

才能×努力=スキル

スキル×努力=達成  

 

才能は、スキルが上達する速さにおいて重要だが、それ以上に達成には努力が2回影響することから、大きな達成を得るためには努力が必要ということが分かります。

朗報として、努力はかなり融通の利くもので、意識的に調整できる。そのため、努力できるように人を動機づける方法が求められます。ただし、努力においては、ただ「一生懸命頑張る」だけで は十分ではありません。

その活動を「やり抜く」こと、つまり持続性が必要となります。そして活動の持続によって本当の達成が可能になります。特に重要な二つの概念「やり抜く力」と「セ ルフ・コントロール力」は、言語習得への努力を維持するための重要なカギとなります。  

Duckworth and Seligmanは次のように述べています:   

アメリカの青少年における学業不振の原因については、能力の低い教師や、退屈な教科書や、クラスの生徒数などがよく非難の的になっています。しかし、生徒が自らの知的潜在能力を十分に伸ばせない別の理由があります。

それは、生徒たちが 自制心を働かせることができないからです。数多くのアメリカの子どもが、長期的な利益のために短期的な娯楽を犠牲にすることを強いる選択をすることに困難を抱えていると思われます。

特にシニア英会話のシニアという方々に目をつけたのは英語を学びたいと思われる方は、このやり抜く力とセルフ・コントロールが上手な方であると思われるからです。

シニアになって英語をやりたい方は非認知能力に優れた方が多いのです。

自制心を強化するプログラムこそ、学業的達成を高めるための王道であると思われます。

これらの研究においてはそれらがアメリカの状況について述べていますが、同じことが日本をも含む多くの先進国にも当てはまると思います。

有能な教育者の育成、より魅力あります教材の開発、適切な学習環境の整備と いった学習者の外的要因を整備することは非常に重要です。

それとともに、学習者自身の内からの力、目標、そして目標に向かってやり抜く力と自分をコントロールする力を培うように学習者自身を 教育することが、今後の言語学習の大きな課題であります。

 

6.非認知能力とフィードバック

やり抜く力や、セルフ・コントロールやモチベーションの維持は学習者の方が持っている能力です。

しかし、どのような学習方法でも非認知能力があれば英語を話す事ができますが、まったく関係がないと言う訳ではありません。

やり抜く力はより効果的な英語学習方法の方がその力が出ます。それは自分の英語力が向上しているのが実感できればやり抜く力が湧いてくるからです。

効果的な教材を使えば、確実に上達して英語学習が楽しくなり、セルフ・コントロールもずっと楽になります。

効果が実感できる方法があれば、自己効力感を感じてモチベーションも上がります。

すると非認知能力とは言え、正しい教材を選び、そしてそれが実践できる教材が有る方が、非認知能力を最大化できます。

そしてそれらの学習方法や学習教材や自分の英語力を自分で評価できるフィードバックこそが非常に大事な要素になってきます。

ネイティブを真似る学習はフィードバックを生かし易いのです

 

7.学び合いと非認知能力

英語習得でも当然の事ながら努力を継続する事が大事になります。すると単に習慣化して続けるのではなく、やり抜く力とセルフ・コントロールも必要になります。

やり抜く力を伸ばす方法として、Duckworthは内側から伸ばす方法と外側から伸ばす方法を挙げています。

内から伸ばす方法としては、興味、練習、目的、そして希望が関係して います:

 

 

興味:人は興味がありますからこそ粘り強く努力ができるので、興味の持てることを探すこと、 自分が行っています活動を楽しむこと、好きになることが望まれます。

練習:単に練習するだけでは不十分で、自分が行っています活動について意図的な練習することが大切です。 

目的:自分が行っていることは、周囲の人や社会に役立つという目標を持つことが必要となります。このためには、周りにとっての自分の活動の有用さを考えることや、ロールモデルを見つけることが効果的であります。  

希望:自分の努力次第で将来は良くなるという信念を持つようにします。そのような信念は、自らの気持ちの持ち方で変わることもあり、また人の手助けで希望を持てることもあります。 

 

第二言語学習は長期にわたる活動であるため、学習者が困 難や逆境に直面することが多々あり、また勉強以外の様々な楽しく、短期的な満足を得られます誘惑も数多く存在します。

そうした中で、やり抜く力とセルフ・コントロール力は、第二言語 習得の成功に向けて大きな力となります。

これらの要因は自ら内面的にやるべき事がありますが、同時に外面からの助けがあると非認知能力を高める事ができます。

外面から伸ばす方法については、シニア英会話では学び合いを運営しております。学び合いでは学習が他の学習者と交流でき、そして意見を交わし、そして相互の練習もできます。

他の学習者との関係を持つ事により、常に他の学習者のお手本となったり、他の学習者にはげまされましたりする事でし、非認知能力が維持できます。

他の学習者との交流で、楽しい会話ができ、楽しい時間が持てると言う事で、セルフ・コントロールもし易くなります。

日本の英会話学習の改革

シニア英会話は日本の英会話の改革を目指しています。まずここで非常に効果的である事を証明します。