大人も子供のように言語習得可能

「ネイティブの幼児と同じ方法で、我々も英語を学ぶべきだ」という考え方は、一見とても説得力があります。私たちも日本語を学習する時は、文法を意識することなく、自然な文脈の中で言葉を使っているうちに、いつの間にか日本語が使えるようになっていました。

そのような日本語習得過程に比べると、日本の伝統的な英語教育はいかにも理不尽です。英語の授業とは言いつつも、自然な文脈の中で英語を使用する機会は皆無と言ってよく、代わりに「3人称単数」とか、「過去完了進行形」とか、「仮定法現在」といった、ネイティブでさえ知らないような文法用語をこねくり回しています。

日本の英語教育に不満を持った人々が、「外国語に関しても、母国語と同じ方法で習得することができる」という理屈を考え出すのも無理はないでしょう。文法、和訳中心の英語教育で英語が出来るようにならなかった実体験を持つ多くの日本人にとっては、母語習得過程に基づいた外国語学習理論は、自然で合理的なものに映るかもしれません。

1.脳は一生成長を続ける

まず結論から始めます。脳は一生成長する唯一の器官です。成長を続けると言う事は脳の基本的な機能は同じだと言う事です。

つまり脳が言葉を学習する方法は一生変わらないのですから、同じ英語を学ぶのであれば、子供も大人もその学習方法は同じです。

スポーツでも、音楽でも、芸能でも反復練習をします。つまり体の動きの習得は大人も子供も反復練習が基本となります。英語も例外ではありません。

2.文法訳読法

「日本人は文法と読解ばかりやるから、英語が話せない」という批判は、日本の英語教育を批判する際の常套句です。教師が日本語で文法事項を解説し、英語の文章を日本語に訳してゆくという昔ながらの教授法は、「文法訳読法(Grammar-Translation Method)」と呼ばれます。

文法訳読法の最近の評判は、決して芳しいものではありません。国際化が進んでいるのに、日本人の英語力が一向に上がらないのは、旧態依然とした文法訳読法の授業がいけないのだと、日本人の英語力不足の元凶として名指しされることもしばしばです。

文法訳読法は、外国語教授法の中でもっとも長い歴史を持っているもので、その起源は古く中世にまで遡ります。

 

中世ヨーロッパでは、ラテン語に精通することが教養であり、知育、精神鍛錬につながると考えられていました。ラテン語を話す人の数は、ローマ帝国の滅亡以来、急速に減ってゆきますが、それでもラテン語は学校教育の中心科目でした。

話者が少ない言語を学ぶうえで、会話の能力を伸ばすことは重要ではありません。そこで、ラテン語の教育においては、文法訳読法が用いられ、ラテン語の原典を正確に理解することが重視されました。これが、文法訳読法の始まりです。

18世紀後半には、ラテン語以外の現代語(例えば、フランス語やドイツ語など)がヨーロッパでも教えられるようになりましたが、その際にも、ラテン語教育の伝統から、引き続き文法訳読法が用いられることになりました。

しかし、文法訳読法には、皆さんもお気づきのとおり、ひとつの大きな欠点がありました。それは、外国語を読み書きする能力は身についても、実際の会話力がつかないということです。原典を読むことが目的であったラテン語を学ぶ際にはそれで問題なかったのでしょうが、話者と接する機会がある現代語を学ぶ上では、やはり会話力も身につけたいという要望が高かったのです。19世紀中盤以降、文法訳読法への批判が次第に高まってゆきまし

3.ディレクト・メソッド(直接教授法)

19世紀末には、文法訳読法への批判に応えて、「ディレクト・メソッド(Direct Methods、直接教授法)」と呼ばれる一連の教授法が誕生しました。ディレクト・メソッドの創始者として考えられているのは、フランソワ・グアンというフランス人です。

グアンはドイツ語を学ぶために、1年間ドイツで過ごしました。ラテン語教師であった彼は、ドイツ語もラテン語のように文法訳読法で勉強すれば話せるようになるだろうと、ドイツ語文法を学び、たくさんの単語を暗記しました。

しかし、文法書と辞書を片手にいくら勉強しても、ドイツ語がまったく話せず、聞き取れるようにもならないことに気がつきました。1年間ドイツで過ごしても、ドイツ語がほとんど上達しなかったグアンは、失意のうちにパリに戻りました。

フランスに帰った彼は、「2.5歳になる彼の甥がわずか10か月の間に自由にフランス語を話せるようになった」のを見て、驚きます。子どもは、単語を暗記しようとせず、ましてや文法を勉強することもないのに、いつの間にか言語を喋ることが出来るようになるのです。

そのような自分自身の経験に基づき、1880年、グアンは「外国語の教授と学習法」の中で、彼独自の外国語教授法、グアン・メソッドを発表しました。これがディレクト・メソッドの始まりでした。

ディレクト・メソッドでは、会話能力がつかない文法訳読法の反省に立ち、文法を意識的に教えることはしません。幼児が言葉を学ぶ過程をお手本にして、翻訳は一切行わず、外国語のみで授業を進めます。そして、読み書きよりも会話に重点を置きます。

4.第二言語習得理論

動物の神経活動の中には、生まれてからある一定期間内に学習しなければ、一生学習することができないものがあります。例えば、スズメは生まれてから一定期間以内にさえずりを学ぶ機会を逸してしまうと、一生かかってもスズメらしく歌えるようにはならないことが判っています。また、アヒルやニワトリは、孵化してから一定時間内に餌をついばむことを覚えないと、その後永遠についばむことができないと言われています。

 

このように、ある行動の学習が可能な一定期間のことを、専門用語では「臨界期」と言います。いくつかの動物の行動に臨界期があるように、人間の言語習得においても、臨界期が存在すると考えられています。

 

つまり、人間が自然に言語を習得することができる期間も限られており、その年齢以降は、幼児のように言語を習得することができなくなるということです。判りやすく言えば、スズメの歌を聴かずに育った雛が、決してさえずることができないように、子どもの頃に英語を聞かずに育った我々は、もはや幼児のように自然に英語を学習することはできないと言うのです。

脳の学習の仕組みは一生同じですが、言語習得に関して言えば子供なら100%の成功率ですが、大人の場合は数パーセント以下かもしれません。

同じ言語を学ぶのに大人と子供に大きな差があるのは、大人と子供では英語の学習方法が違うからだと言うのが第二言語習得理論です。

しかし、脳科学的には大人も子供も脳の学習の仕組みは同じです。

5.大人が子供のように習得できない理由

大人が子供ように言葉を習得できないのは脳の学習の仕組みが変わるからではありません。子供と大人の言葉の学習環境は大きく違うのからです。

子供は英語が聞けて、話せる環境があれば100%言語が習得できます。我々の日本語も聞けて、話せる環境があったので100%、言葉が話せるようになりました。

大人の場合は英語が聞けて、話せる環境があっても英語は簡単に話せるようにはなりません。私は20才の頃にアメリカの大学の男子寮で生活をしました。日本人は私だけだったので、英語を学ぶには恵まれた環境だったと言えます。

しかし、ある程度英語が話せるまでには2年くらいは掛かっています。その最大の理由は大人が、ネイティブの大人の使う表現を覚える必用があるからです。

つまりかなり複雑な表現も使う必要があり、その表現を忘れないで覚える必用があります。

ネイティブの大人の使う表現を覚えるためには、何度も何度も真似て忘れないように覚える学習が必用です。

数千以上の英語表現を覚えるのは、大人でもかなり大変です。

逆に子供は簡単な表現から覚えます。思考自体が未熟ですから、簡単な表現から覚える事ができます。つまり、英語を聞きて、話す環境があれば特別な練習無しで言語習得ができますから、成功率は100%です。

6.臨界期とは

動物の神経活動の中には、生まれてからある一定期間内に学習しなければ、一生学習することができないものがあります。例えば、スズメは生まれてから一定期間以内にさえずりを学ぶ機会を逸してしまうと、一生かかってもスズメらしく歌えるようにはならないことが判っています。また、アヒルやニワトリは、孵化してから一定時間内に餌をついばむことを覚えないと、その後永遠についばむことができないと言われています。

このように、ある行動の学習が可能な一定期間のことを、専門用語では「臨界期」と言います。いくつかの動物の行動に臨界期があるように、人間の言語習得においても、臨界期が存在すると考えられています。

確かにに、人間が自然に言語を習得する能力の期間も限られており、その年齢以降は、幼児のように言語を習得することができなくなるのは事実です。

しかし、その能力とは英語の表現を覚える能力ではなく、音の判断能力が急に劣化する事です。例えば英語のLとRの音の違いが分からなくなります。

臨界期を過ぎたら完全にダメかと言えば、それは練習や学習次第でかなり改善できます。

7.音の判断能力の改善方法

音の判断能力の改善は、聴覚の鼓膜に届いた音をどう認知するかの問題です。つまり脳の学習の問題です。

私の体験では60才を過ぎた頃からLとRを気にするようになりました。大袈裟に言えばLとRの音の違いかかなり大きくなってきました。それは注意して英語の音声を聞くようにしたからです。

そして自分で発音する時もLの音であったか、Rの音であったか辞書でスペルをチェックするようになりました。

そして録音して自分の発音に注意するようになりました。するとどんどんその音の違いが分かるようになってきました。意識した学習が必用になります。

つまり60才を過ぎてからの学習も有効なのです。臨界期が存在しても学習でその音の判断能力の劣化をカバーする事ができたのです。

8.大人の英語学習方法

脳は一生成長をしますから、基本的には日本語を覚えた時と同じです。つまり文法や語彙を基盤とした学習ではありません。

しかし、日本語は成長と共に習得していますから日本語を学習した意識はないと思います。つまり基本的な学習の仕組みは同じですが、意識した学習が必用になります。

意識していただきたいのは言葉の覚え方です。日本語を覚えた時は発音記号で覚えた訳ではありません。周りの人、つまりネイティブを真似て覚えています。そして自分の発音のフィードバックを得て、少しずつその音の特徴を捉えています。

日本の英会話学習の改革

シニア英会話は日本の英会話の改革を目指しています。まずここで非常に効果的である事を証明します。