英語学習では発音は非常に重要です。ディープラーニングでは最初から最後まで発音練習とも言えます。基本は達人を真似、フィードバックで修正と矯正をすることです。
しかし、その大事な発音練習はどうするのが最も効果的で正しい学習方法なのでしょうか。
音声学で教える音素とか発音記号は音声にあの音が実際に並んでいるのではありません。音声学の音素は聞こえた音で判断しますから、聞く人によって違ってきます。日本でもウダさんは30音で、英語耳の松澤さんは43音で、多くの音声学の方は45音で、遠藤さんは51音で教えています。
世界の調音音声学では45音素が一般的なようですが英国には44音素学派もいます。
ではいろいろな数で教えても大きな問題が起きていないのは人間の発声器官は音素を並べる事ができません。必然的に音が連続的に変化してしまいます。結果的にはある程度の発音ができるようになります。
もちろん科学的に正しい方法でありませんから、非常に効果的な学習ではありません。
音声は音のストリーム
英語や日本語の言語の音声の捉え方は大変に重要です。科学的に分析すると英語の音声には発音記号(音素)のような音が規則正しく並んでおりません。音が連続的に変化しているだけです。音素が聞こえるのは学習した錯覚とも言えます。
音声にはつまり正しい音が存在しませんから教える事も、チェックすることもできません。
世界的な有名な言語学の本で、Linguisticsと言う本があります。この本は、いつ読んでも内容はぜんぜん古さを感じさせません。日本人で英語を教える立場にある方には読んでおいたほうが良いと思います。なぜならば、著者たちは、過去のLinguisticsに関する文献をかなりの数読みこなしていて、そのエッセンスを本書で伝えようとしているからです。
本書は、実質20年近くかけて書かれたと考えても良い、Linguisticsの入門書です。The University of Arizonaで教科書として使用して、先生や学生からも多くのフィードバックを取り入れて改訂を続けています。
Linguisticsと言うタイトルですが、実質はEnglishの分析を行っています。他の言語がどうなっているかの例として日本語が英語と対照的に取り上げられています。
この本の中で音声を、continuous streams of soundと表現しております。日本語にすれば連続的な音のストリームとでも訳せるかも知れません。音声は音のストリームなのです。
言語学の権威ある本はcontinuous streams of soundと言っているのですから、音声が音のストリームであるは紛れもない事実です。
では日本語の発音を我々日本人はどうやって覚えたのでしょうか。これは非常に簡単で聞いた音を真似したのです。そして自分で聞いてフィードバックを得て矯正や修正をしたのです。
音声は連続的に変化する音であるために、音素を学んで並べる学習方法は効果的でありません。音声を学ぶ唯一の方法は日本語の習得と同じように聞いた音を真似る事です。そしてフィードバックを得て、修正と矯正をすることです。
これはディープラーニングとも呼ばれる脳の効果的な学習方法です。まわりの正しい発音を真似る事によりだんだん正しい発音に近づいていきます。正しい音が存在しないのですから、通じる発音に近づいていきます。
発音記号に忠実に発音すると非常に発音し難いのはそのような音を並べる事が発音ではないからです。日本語もそうですが、英語も子供が発音を覚える時は聞いた音を真似します。日本語でも発音の覚え方は同様です。
フィードバックの評価
自分の発音を録音して時間差のフィードバックを得て、自分の悪い部分から直してください。基本的には発音しやすい音が理想的な発音になります。
言語には正しい音素が並んでいる訳ではありません。すると正しい音と比較して良いとか、悪いとかの判断はできません。
だんだん慣れてきたらリアルタイム聴覚モニターを使い、自分の話している英語をチェックできると録音をする必要がなくなります。
臨界期の克服
臨界期とは12才から14才くらいになると言語習得が難しくなることです。しかし、それは英語の音の判断力が急に劣化することであり、言語習得のメカニズムは臨界期の前も後もまったく変わりません。
言語の学習メカニズムは臨界期前も後もディープラーニングで学習します。しかし、臨界期以降は音の判断力が劣化するために発音の習得が難しくなります。
それを克服するためにはフィードバックを得る事です。ディープラーニングは真似るだけでなくフィードバックを得た矯正や修正をします。特に録音してフィードバックを得る時間差フィードバックは有効な手段です。
大事なことはネイティブのような音を真似る事です。すると音に対して繊細になります。音の違いがだんだん分かってきます。臨界期後であっても音に注意を払う事で音の判断力を向上させる事は可能です。